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「日本再占領」を読む。激しくオススメ! [本]

明日はポツダム宣言受託の日。
そんな時節ですが、中田安彦さんの「日本再占領」読了しました。
素晴らしい本でした。

覇権国、属国の関係理論を基礎に、緻密なジャパンハンドラーズ研究で培われた、正しい知識と、ぶれない視点を持っている中田安彦さんをして、wikiリークスで漏れた外交公電を分析し、整理した時に見えるもの。
格別に恣意的でなく、正しい時系列で分析、整理するだけで、容赦なく整理されあぶり出されてしまう日米の対応関係。官僚の姿。そして彼らに統治能力が満足に無い事を懸念し、震災で実際に露呈した後、自国の利権の保安の意味でグズグズの日本を「再占領」していくアメリカの姿。

こんな本は、今までの日本でリアルタイム進行中には読む事が出来なかったですから、その意味で激しく幸せを噛み締めながら読みました。2つ大きく感じる事がありました。

一つは「ヤメ官」の限界。
平行して、古賀茂明さんの「日本中枢の崩壊」を読んでいて、官僚の生態という所においては大小関わらず知見倍増って感じですが、古賀さんに限らず官僚のアウトサイダーの著作には超えられない限界があるように思う。

郷原さんや、孫崎さん、佐藤優さん等の著作は、我々平民(あえて書きますが)が伺い知る事の出来ない貴重な情報や見識があって、官僚批判の根拠となる情報等も含まれますが、ざっくり言うと、「官僚だめじゃないか、頑張ろうよ」的結論に至る。

つまり想定内の遠山・チェリーブラッサム・金さん。
やはり社会党や共産党といいますか、体制内バランサーになってしまうのかなと思います。佐藤さん等は、戦後の官僚のエトスはなんだろうと謎かけをしてみせて、興味深いのですが、他の方は、中田さんがする様には彼らを含む上部構造、歴史的な経緯や機能、他国との関係性を示す事はない。また多かれ少なかれ官僚が国家主体で後は民草という観念がどうしても抜けていない。

当然官僚とマスメディアは一体ですから、マスメディア人にもそれは無理で、御用「ジャーナリスト」はジャーナリスト役の「タレント」ですからやはり無理。

中田さんは、その壁スパッと普通に跨いで(笑)高みに行ってます。チャルーマーズ・ジョンソンとか、カレル・ヴァン・ウオルフレンの領域ですね。素晴らしい。ジャーナリストを名乗る皆さんは、爪の垢煎じて以下略ですね。やはり日本ではまだ副島さんの派でしか出来ないのではないか。

 もう一つ。外交の実感覚。官僚はアメリカの「レップ」である。

リークされた公電、本国へのアケスケな報告を読んでいると、なにかと凄く似ています。凄く慣れ親しんだもの。

そう。一般企業の海外販社からのレポーティングです。
彼らが現地の「レップ」現地代理店とのやり取りを本社に送ってる、そんな感じとそっくりですね。

あの連中は使える、
あのレップはこのマーケットに強い、
情報は誰が持っている、誰と話をつければよい、
アジェンダは進めているが、現地利益とぶつかる部分がある。
誰々は我々に理解をしめしており、本社の影響力を保って今後ビジネスを続けるなら、こいつとやる必要がある。
現地での実行力はまだ未調査。

等々。
まんまです。皆やってる事じゃないかと。

これがもし外交であるとするのであれば、やはりU.S.A.という会社の継続的にビジネス優位性を保つ為に働く、アジアリージョンの販社と本社MKがハンドラーズですね。
日本国民と政治家がそう捉えれば良い。インテリジェンスというのは誰もが食う為にやってるマーケティングで、変な外交イメージにまみれたアホダラ経を考えずに、方法論的に是々非々で考えればいい。

「天皇財閥」という吉田さんのまたまた素晴らしい本があって感想文を書こうと思っていますが、その財閥社員が戦前は官僚で、かれらは今は規範とエトス無く国を牛耳り、半分以上はアメリカのレップとして動いてる、と言うことになりますか。

極めて判りやすい。
やはり、自治体や一般公務員のグループと分けて、官僚というのはいきなりでなくともリセットすべきだと思いを強くしました。

こんなに価値ある本はそうないですよ。
とにかく一読お勧めします。
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