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「戦後史の正体」を読む。必読です。<短評> [本]

 先のエントリで書いた、2009年頃書いた旧約聖書と歴史の読み合わせの日記ですが、その前に、話題の「戦後史の正体」の感想を。

凄い本でした。ちゃんとした感想文、書評を書こうと思いながら時間が無く、またの機会としたいのですが、”「戦後史の正体」以後”と言う言葉が出来るのではないかと思える、「属国・日本論」クラスのインパクトがある必読書です。

昔小室先生の著作の書評で、

◇◇◇2010-09-20のエントリよりここから

そして最後、アローの背理(ジレンマ)が簡易に説明されます。
B>A でC>Bであれば、C>Aである推移律が保持された状態で、このABCを自民、共産、社会で判りやすく説明しているのですが、こういった推移律が成り立っている3人が、2政党の組み合わせで投票をした場合に、個が推移律に従った選択をし、民主的に投票したとしても、全体として不合理な選挙結果を生む事が簡単に証明される。

◇◇◇ここまで

こういうジレンマの説明がある事を紹介しました。
恐らく、こういう事を普通に織り込んでプレーヤーを育て行っている米国の工作、戦後の戦略から外れる自主路線の首相達にそれが仕掛けられ、従米に引き戻される流れが、証拠となる参考文献等をきちんと引用されて、戦後通史で書かれています。

ベターかつ実現可能なオプションを進める勢力に、実現不可能なベストを求める勢力をぶつけて割る事で、結果は現状維持の望ましく無い状況に落ち着く。中でも、岸総理と安保騒動の下りは白眉で、原発に関する現在の動きに被せて考えたくなるポイントです。

このblogに個別に書いて、疑問を呈していたり、訴えていた事が、大抵は網羅されていて、まさに高校生レベルの知識の私みたいなのをサンプルとして想定し編まれた様な著作でした。
判りやすく、かつ参考文献、資料をきちんと引用し、タイムラインとして正確さを守り書かれた歴史書です。
殆どの世のウソは、言わない事と時系列のごまかしですから、そういうことが無い様に注意して書かれている。

長く外交の現場に居たエリート官僚の方は違いますね。昔、官僚OB著作を十把一絡げに印象を述べてしまった事が一度有ったかと思いますが、アメリカの圧力を正面から取り上げた点で、孫崎さんは他の著者とレベルが違いました。失礼しました。

最後に思う事ですが、戦前からの流れにおける「自主路線」の受け皿が、官僚機構の中には最早消滅してしまったとすると、そして「エトス」的な物も断たれてしまったとすると、自主路線という物は果たして取りうるのだろうか、と、いつもここで発している懸念に戻ってしまう所があります。

ただ、この本の内容が、主権者を啓蒙し、コモンセンスとなるので有れば、ゲームの先に違うオプションと動きが生まれるでしょう。そして、ベターを選びとって行くしか無い。

結局そこそこの短評になってしまいましたので、バイブル&山川読み合わせは、
次回にいたします。

それでは。
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