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「アメリカ政治の秘密」を読む。 [本]

新春一発目に何を書こうかと思ったのですが、
半年以上あっためてしまった古村さんの著作の書評を少し手を入れて上げます。
まず、この本は必読と最初に書きます。

古村さんの前書きに、お忙しい方、興味のない方は後半のジャパン・ハンドラーズの部分を先にお読み下さいと書いてあります。確かに後半素晴らしいのですが、ジャパンハンドの資料的に読もうとする方でない限りは、絶対に最初から読む方がいい。

何故か。
アメリカの外交政策を決める要素や、アメリカ内部の事情や流れとしてこうなっているという状態が、バキッと判るからです。自分の仕事、会社を見ている様な感覚でもの凄く淡々と判るんです。
恐らく古村さんがアメリカの大学で学び、一方統治される側の副島史観を持ってそれをするから、ムダ無く日本研究のポジションのリアルさがダイレクトに伝わってくるのだと思います。

前半を読んだ時思い出したのは、昔、仕事で、どう考えても売れないはずがない商品が不振で、実情探りに出張した時の事です。

海外相手に仕事をした事有る方なら頷く部分があるでしょうが、こういう場合、大抵販売会社がさぼってる、もしくは価値感が十分に伝わっていないと本社で騒いだりする。しかしながら実際はそれ以前に、その地域の店舗に置いてもなんだかいい知れぬ(笑)違和感があったり、パラメーターや使う際のプロセスが現地の仕様からどうにもズレていたりということが、半分くらいはあるものです。

その時も、西海岸のある店に最初に行った時に、いきなり、これ確かにジェレミーやゴンザレスが言ってる通りでどうにも難しい。いや判るわと体感してしまった(笑
古村さんの本の前半を読んだ時、その時のような気持ちがしました。

この本は副島先生の主著の続きとも言えるのですが、つまり、あのような文脈と常識が、あのようなダイナミズムで流れているとした時に、我々が日本で思って、グダグダ言ってる基準の常識や思い等は届く訳がない。

仕事であれば、商品の性能を出している部分はそのままに、市場の文脈で落ちるところに落ちる様にパッケージングを全面刷新する為の許可や時期やコスト検討にすぐ取りかかる。つまりこういう実感を得れば、閉じた中の理念でなく、プラクティカルな対策を考え出そうとする大きなきっかけになります。

どんなに学説を読みあさったって、原著読んだって、それが書かれたネイティブの国において、何を当たり前とした文脈でどういう「感じ」「雰囲気」で動いているのかは中々判らないので、こういう本は極めて貴重です。
この本の前半で表されている”ノリ”を、皆大学で肌身で感じるくらいになれば、多分日本は自然に変わるんだと思います。

でも絶対そうならない。いや絶対と言ってはいけないですが、極めて難しい。
それは、日本では、私の経験で言うところの、

「売れないのは販売会社がおかしいという日本の本社の方々」か、
「日本語を少し喋れる”便利外人”をあちらの代表と見る方々」、
もしくは「商売自体の経験が無いそれ以前のレベルの方々」、

で殆ど教育機関は占められているように思うからですね。

全部日本人の典型でしょう。
”便利外人”なんて、ああいうアメリカ内部のノリの中において、長年日本に張り付いて中央に出る事が出来ない連中って、どういう方々なのかと、こういう本を読むとシュッと解る訳です。

ロバート・ケーガンの本も翻訳されていますが、これもまた同じ様に面白かった。アメリカのネオコン自身の現在的主張を知るという意味もあります。
それに加え、きっと、少なく無い、本を読む知的なクラスのアメリカ人が、これを読んでフムフムと思ったりするんであろう筋立てというのは、こういうものなのかと理解する。

副島先生は今やもの凄く多くの層を相手にされているので、遥かに広い範囲の人々、つまり上に書いた典型の人々を啓蒙しなければいけない。しかしアメリカ政治の研究で言えば、古村さんの著作や、中田さんのオバマが成立する過程を書いたパワーエリート解体新書等で、「アメ政」の現在を読む事が出来ます。オススメ!
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