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ナオミ・クライン「The Shock Doctrine」邦訳出版! [The Shock Doctrine]

さて、
本日は、目出たい様な、複雑な気持ちで書いております。

実の所、日本での翻訳出版権をもっているのは、岩波だと言う事は随分前から業界の方に聞いていました。お前のとこから出せよ!と言ったら、調べてくれて、岩波があっためてると教えてくれました。

何の事かと言えば、このblogのきっかけとなった、Naomi Kline の「ショック・ドクトリン」です。

某ケケ中氏などが、まさにこの中に出て来るシカゴボーイズのようであった訳ですが、小泉時代を過ぎ去っても出さない、政権交代が実現出来ても出さない、そして、この震災を越しても出さない。
延々と今まで持ち腐れたまま、握り潰すのであれば、お前等やっぱり共産と一緒で体制内固定化左翼か!と糾弾するつもりでした。

日本語版がようやっと、今日出荷になるようです。震災待ちでもしていたのか。

http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/5/023493+.html

英語で読む人は読んで、粗訳を作ってもらって読んだりした人も多かったでしょうから、大方内容は知識人に広まっているかと思います。これを、人口に膾炙する本へと、これから岩波は死力を尽くさなければ行けませんね。

この本に書いてある事を系列建てて知る事で、それだけでもwowファクターがあるでしょうけども、是非その後に、日本に置き換えて考えて欲しい。

震災を起こしたとは言いませんが、それを奇貨として、今誰が、なにを、
「日本のどういった連中を通して」行っているか、
TPP、沿岸の漁業関係利権、原子力関連、エネルギー関連、経済金融政策。

震災という事を忘れても、フリードマンの近衛兵みたいな連中が、海外の留学先、赴任先から戻って来ていろいろやらかしましたね。
クラインの本では新自由主義の「シカゴボーイズ」と呼ばれます。彼らは日本だと、この20年一体誰にあたるか。さらにそう言った政策の広告塔、手先となった実業界の人間達はどのような人々だったか。

特に、日本アメリカの覇権国、属国関係に置いてのそれはどのような形であるか。
必ずしもシカゴ派ではなくケインズ派なのにそうする人も居る訳です。
学派でなく、ローマと属国の関係に近い。アメリカの日本ハンドリング体制がそこに更に強く有って、単にシカゴ派なんてモチーフだったりするくらいです。

皆さん、まずは、日本の事を振り返ると、筆頭に、今話題の、うらっかえすと後山、短大陸各氏や、松でも梅でもない中の人(笑)、パナソニックなんとか塾とか思い浮かべると思います。

正しいですね(笑
正しいんですが、彼らはむしろタレントおよび捨て石です。
シカゴボーイズ的なものに侵されたでっかいがん細胞のような固まりが日本にはあるんです。そうです。官僚。中枢は人事と財務ですね。

結局ショックドクトリンのへたくそ訳から始まったこのblogを書いているうちに、そこにどうしても行き着く。官僚の暴力装置を使った小沢氏への異様な攻撃への反論や、官僚のエトスは今や金さんとか黄門様とかへたれテレビドラマくらいしか無い事まで暴き立てる様なblogとなってしまいました。

何回か前から、おヒマな方は読み直して頂きたいのですが、もう律令グセがついて、お上に任せ、分を知る事が美徳や習慣であるような社会の在り方なのです。だから、戦後占領軍も官僚のあたらしい親分になって、かれらをそのまま生かして占領した。

この本を読んで(重ね重ねいい訳であり、印象操作の無い事を祈りますが)是非そうした事に思いを巡らして欲しい。国民主権とは何かと言う事を考えて欲しい。

上手く訳してあれば世界20数カ国で随分昔に(笑)ベストセラーであったように、きっと未だに「閉ざされた言語空間」の日本においてもベストセラーになります。

クラインの構成が上手くて、最初は恐ろしいCIAの洗脳実験の歴史や、アグレイブ等が書かれます。ここでぐっと引き込んで、歴史上のコトゴト、南米、ソ連、カトリーナ、中東、ヒズボラ、南米の反転攻勢、そして大津波、固い話も飽きずに読める事請け合いです。あれはそうだったのか!ヒズボラって凶悪テロ組織じゃなくて、ローカル互助会?とか。

是非皆さんに読んで頂きたい。

さて、ほんとにこのblogもそろそろ役割を終えそうです。
いや、年間10万pvもいかないような弱小blogだから役割なんて担ってないですね。自分にとっての「意義」、知ってしまったので騒がないと行けない意義と言い換えましょう。
それは、翻訳が出て、ちゃんとプロモートされれば終わる事になります。

よくまあここまで書いて来たなと少しばかり感慨もあり。
既に飲んで書いていますが(笑)小さく、一人で乾杯したいと思います。

あれから、アイン・ランドの、
「ただ食い官僚以下の付加価値生まない連中を担ぐのをやってらんねえと諦めたアトラス」(笑)
なんぞを読んだりしました。

脇坂さんという美女が翻訳されたのですが、高くて、結局原著で読みました。彼女は今ユニクロのIRのトップあたりで働いて居られるらしく、あの本を訳した方が、イノベーションと関係ない外資風水平分業スキル人生を歩んでいる事を、とても不思議に感じ、話を聞いてみたいと思ったりします。

この本も是非読んで欲しいですね。
アメリカ人にとって、龍馬伝とか、坂の上の雲に当たるそうです。印象としては、ジョージ・オーウエルに少しハーレクインロマンスな感じで、ただし管理され摩滅されて行く連中が主役でなく、イノベータ達が主役で、シュラッグドして隠遁しちゃいます。大変面白い。

震災の時に思ったんですが、そっくりなんです。

ヘーゲル的なイノベーター達を追い出しつつ頼らないと何も出来ない、自分等では付加価値を生む事の出来ない官僚以下がショックドクトリンも使いながら国家を向上させる事がみじんも出来ず破壊してくばかりのその姿、心情。
やはりかれらも「ボーイズ」扱いだったりします。

これが、日本の官僚の震災対応に見事に重なって、きっとリアルアメリカ人は、奇貨とばかりに、日本に借金させつつも、苦笑してるんじゃないか、そう思いました。

アインランドを悪く活用した弟子がフリードマン。一方、愛人だったかと噂のあるグリーンスパンは、アメリカの終わりを自ら仕込んだ。
このアメリカの思想の中核を成す様なアイン・ランド自身は、ロシアからの移民で、アメリカと言う国の実質が実はなにもピルグリムファーザーズで出来上がっている訳でもなんでも無い事がよく分かる。

むしろ主人公の超人的な姿は、なんとなくランドに故郷が近しい、神秘思想家のグルジェフ当たりの感性ととても似ている様な気がします。
日本の常識からすると、こんなとんでもない様なアメリカの「秘密」めいた実感もたった2冊原著を読むだけで感じる事が出来ます。

殆どの日本の人はこんな感慨一生持たないで人生終える訳ですからもったいない。是非読んでみて欲しいです。

今は、やはり訳で読もうと思った我が尊敬するリンドバーグの文庫が絶版で1万円以上するので、頭に来て原著を輸入。1800円で、私と同じくらいの年齢の第一版が届きました(笑

ページは結構きれいでびっくり。ただ、所謂アメリカの古本臭が強くて、まだ読まずに日に干してます。

それでは、この辺で一旦、サイニングオフ。
明日また書くかもしれませんが(笑

今まで読んで頂いた方々、本当に、ありがとうございました。

ではまた。
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ETCマンツーマン英会話

はじめまして。
ずっと読みたいと思っていましたが、原書版にはなかなか手が出ずにいました。やっと翻訳本が出版されていたのですね。一人でも多くの方に、ナオミ・クラインさんのメッセージが届くことを、こころから望みます。
by ETCマンツーマン英会話 (2011-10-24 11:42) 

Kたろう

スパムや商用アカウント避けでコメントは承認挟んでるのですが、コメント自体は、中の方の個人的な物とお見受けしたので、そのまま上げさせて頂きます。

この本の真に優れた所がありまして、それはヒューマニズム的なリベラルの切り口から社会問題を俎上に上げるだけではない所なんです。

未だに日本で信奉者が多いような、優れた自由主義とされるフリードマンの経済理論の名の下に、実はショックを作りさえして揺さぶって、民営化の元に独占的に標的の国の「税金」をインサイダー的に吸い上げていく巨大な詐欺、つまり、日本ではすぐオカルトの棚に入れられてしまうような陰謀論、正確には共同謀議、英語では「conspiracy」の方程式を、リベラルで定評のある彼女の看板で怪しい棚に入る事無く、通史で暴いた。
これがもの凄い功績なんですね。その上で勿論、広く国内で読まれて欲しいです。
最初からそれを予感していたので、英語力が無い私が、飽く事無く読み通すことが出来ました。「ETCマンツーマン英会話」さん程の方であれば、てのも変ですが(笑)むしろ説明の為の説明が少ない原著の方がきっとスムースに読めると思いますよ。

by Kたろう (2011-10-25 00:44) 

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