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The Shock Doctrine 関連の転載6 [The Shock Doctrine]

2009年04月19日10:00
「The Shock Doctrineを読んでの続き2(と、ちょっとオレオレ詐欺」の転載です。

Naomi Kleinに戻ります。
ITバブルが弾け、かわりにHomeland securityバブルが911で一気に膨らんだ。
古い言葉でいえばマッチポンプな業態ですが、テロという物に代表される固定されない偏在する不安に対する為、特徴があった。その辺と日本の例。

後は、格差を広げ、固定化してきたグローバリズムへのバックラッシュとその特徴あたり。
やはり排外主義と国家全体主義の動きが出ます。アジア圏の我々も、この何あたり、良く判る部分ではないでしょうか。


◇◇◇
(転載はじめ)
(マクラ略)

Naomi本に戻ります。

 言ってみれば”焼け太り”経済の一種ですが、特徴があります。

過去においては、戦争があれば、軍需株が上がって、一般企業は下がったけども、沢山の局所で問題、災害、紛争が長引けば、軍需も一般企業も上がるように株式市場は変化する。

つまりは、War on terrorでもdisaster capitalismでも、Homeland security周辺一般企業の株価は軒並み上がるという経済になったのです。

地勢学的に有る程度決まっている紛争地域というのが有ったわけですが、戦争以外にも、偏在する不安を強調し、Securityの需要さえ生み出せば、今までより遙かに裾野が広い企業群の売り上げと株価が上がってしまうようになった。

昨晩、口座売買の番組がオレオレや闇金の押し貸しと絡んだ大変な問題だとNHK特集の分裂版でやってましたが、これが好例。

結局切り札として、みずほの口座のモニタリングシステム導入が、外資の社名入りでフィーチャーされてました。続けて、みずほ一行で頑張っても抑えきれないので、と頭取が話し、五味元金融庁長官がそれを受け、政府としても身分証明書並に厳格化すべきだと。
この日記書いてるタイミングに、タイムリーだなあと思って見ていました。

ぱぱっと調べると勘はドンピシャで、その企業というのはまさに対テロ需要に乗って起きた、世界的にはAMLと略される、アンチ・マネー・ロンダリングのシステム最大手。焼け太り企業の一つ。

対テロが空虚に響く小口の口座が多い日本では、オレオレ詐欺、不正口座売買等のモニタリングの切り札として、登場という事でしょう。日本は立ち後れていると番組は言う。
そのシステムは数千万口座の資金の流れをすべてモニタして、パターンで認識する。

昨年の口座売買の摘発は千件だそうですが、システム市場規模の方は恐らく開発から納品で数百億円市場です。実際、パターンを犯罪と結びつけるノウハウはゼロなので、ノウハウと運用カスタマイズして、そこへ毎月どんと上乗せされる。システム屋と言うのはそういう商売。

別の某大手超有名外資サーバー企業も日本向けのAML商品をリリースしたばかり。結果、新NHK特集の第1回のこの番組は最高の広告塔になってしまった。
多分日系のシステム屋は実質的なモジュールを商品化していると思いますが、今イチでしょうね。しかし番組では、政府、警察、銀行がほぼ一体になっている事が必然の様に描かれ、いやな気分でした。

口座売る人の理由は一つ。金に困っているからです。

その状況は何も変わらない。自己破産済みで携帯持ってこじゃれた格好している2児の母が娘の口座売って、娘はブラックリストに乗り口座を開けない=貧困固定化される。
番組ではこういった社会派の構図の描写はいいんですが、その解決を、新自由主義発の政府の口座モニタリングに求める。社会部が暗部を暴くんだけど、政治部が結論をミスリードするというかね。

その前の時間の時代劇で、お年寄りを狙った江戸版オレオレ詐欺をやっていたのは、意識的編成なのか判りませんが、オレオレでだまされるお年寄りに同情を集めつつ、医療、保険、相続税も締め上げる。
そして金融資産を動かしにくくする。株券や札等、有価証券は全て電子化方向にされ口座と結び付けられる、実物が一番厄介なので、実物資産のギリギリの所まで追い込む。
いずれ消え行く高齢者の大きな資産からガッツリ取る為の贈与や相続の脱税のチェックシステムでもあります。
で、その銀行はひとつ10億円で売られちゃう時代(笑)ですが。

本当は、時代劇の方が正しい。
何を言ってるかというと、同じ長屋の住人がおかしいと思って、お婆さんを助けようとしなければいけない。居眠り磐音は消してセキュリティ企業では無い。
オレオレ詐欺は、完全にセキュリティ企業に911として使われているわけです。何をか云わんや。

この本の流れと我々の歴史の絡みは、もっと大づかみで後で書くつもりでしたが、余りにタイムリー、かつ身近な例だったので書いてしまいました。

 で、本にもどります。35年に渡るシカゴ学派の連中の活動の結果、新自由主義の元に、手が入った国は、実に25%~60%の永久下層民が生まれ、固定化されてきた。

一方2006年には世界の2%の人間が、世界の半分以上の所得を手にするようになる。これが新自由主義が呼び込んだグローバリズムの結果です。
それに対して当然バックラッシュが起こる。

あのアメリカでさえ、64%のアメリカ市民が、年間$500税金を払ってもいいから、医療のカバレッジを保証すべきだと思っているという調査結果をCBSとNYTが報じる。

今や、初期の南米の独裁政権による超自由経済を主導した結構多くの人間が、訴えられ収監されている一方、南米では昨日、アメリカ大統領オバマと初めて握手したチャベスが21世紀型の社会主義を報じ、63%の票を得て勝ち、なおかつ国民の57%がこの民主政体にハッピーだという調査が出、当時のアメリカの政権転覆工作も失敗する。ウルグアイもそれに続き、左翼政権が生まれ民営化をブロックする。

ヨーロッパもワシントンコンセンサスにNoを突きつけるけども、これがちょっと妙な方向へ進むんです。

ポーランドでは、パブリックペンションシステム廃止(かんぽの宿かと一瞬思う私は単純なアホですが、年金ですね)と15%フラットタックスという判り易いフリードマン的候補が負けるわけですが、愛国の保守が勝つ。これが、ゲイ、ユダヤ人、フェミニスト、在留外国人共産主義者らを攻撃する。

ロシアでは、プーチンが出てきて、外部支配に置こうとする連中に対し、愛国の新型オリガーキーを育て対抗する。邪魔なジャーナリスト達は消え、民族紛争は増加するけども、人工の60%が彼の愛国ファシズム的な「ロシア人の為のロシア」スローガンを支持する。

結局、ヨーロッパというのは、ワイマールの状況下でナチを産んだような方向に行きがちになってしまうわけです。外にやられれば、生き残りは内で固まります。
バックラッシュは、排外主義と愛国的全体主義を呼ぶ。人種差別、移民排撃という事につながる。

後で書きますが、想像つきますよね。日本を含む東アジアエリアのナショナリズムがこの20年くらいどういう流れだったか。

ただ、最初に餌食になった南米は、少し違うんです。
そしてこの間世界でも、社会民主主義は消えてしまった訳ではなく、新自由主義勢力に負けていた訳です。

長くなってしまったなあ....。後何回続くのか(笑

※写真は古くさい図書館。子供の頃とかわりません。こういう60〜70年代の建物を大事に使っている所はホッとしますね。うるさい奴もいないし。最近歩いてここに行きます。PC用の席もあるのでぽちぽちポメラで書いたりしてます。

◇◇◇
(転載おわり)
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