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外交が出来ないと言う事は何を意味するか。 [日記]

 佐藤優さんの著作を読むと、外交ではプロフェッショナルが「機微」を扱う事は諸国との交渉に大変重要である、というよりそれが一番大事でさえある事がよく分かりますが、それは経済活動においても同じで、営業受発注のみでなく、外部企業と継続的に仕事を成立させてゆくアライアンスには必須の用件ではないかと思います。

私は、営業ポジションでない幾つかの立場で、パートナーとの提案や調整的な仕事が連続し、この辺ある程度前提であるように思っていますが、昨今大きな企業のリストラで、首切りはもちろん、目まぐるしく事業ユニットの組み替えや改革が起っている中で変化がある。

企業のヘッドクオータにある外交ポシションは、官僚の様にコストですから、事業ユニットの上納金が大きく目減りし、市場変化に今まで通り対応するのは難しい。

今までと変わらず機微を扱って関係を構築するエクスパティーズを保持して行くよりも最低限のコンプライアンスやミッションを満たす事が優先される。そうすると、必然的に執行する側の事業ユニットの荷重が増え、質も落ちる。

これまでは、中央に対するリエゾンレベルの担当をおいて、深い話は中央がやってくれたのに、自分自身で他の業界と深い関係を築く必要が出て来る。しかしながら事業ユニット側は、多分に、エクゼキューション優先で内向的に統制立った組織=軍隊ですから外部関係は基本執行の為の決まったルートしかない。

違う業界と互いのメリットと事業構造を理解しながら、対等の立場で利益を与え合う様な関係を複数の外部と構築するような事が馴染まない。簡単にいうと、軍隊の下に外交担当がぽろっと所属するようなものです。

お作法を聞きかじって、オブラートに何十に包んでも、いつもやってる下請けや委託先に対する「これを寄越せ、金はこれだけ」以外のメッセージが難しい。対等を前提とする関係ではこういった話し方は嫌われるものです。

逆にたまたま機微を扱って関係を組める人間が中にいたとしても、リエゾン担当以上の評価や理解、権限を得られる事が無い一方で、交渉相手方に食料調達とか拠点確保させるようなエクゼキューションオーダーが自分に降りて来る訳ですから、これはたまったものではない。継続的には活動出来ない。専門の文官によって関係性が出来た後、お役御免とばかりに内部の軍人にすげ替えた物の継続に失敗するというような流れは、想像して頂くと結構あるのではないかと思う。

 そして、これが現代の苦境に陥っているサラリーマンの大多数が居る組織の流儀とするならば、正直言ってリストラが進むと自然に硫黄島みたいになって、最後売却されたり(それならまだいいんですが)する事は、当たり前なのかもしれません。

出来ないから誰かに頼む。いずれエージェントやコンサル的なポジションに関係性と知見がたまって、インサイダーとして業界の上に君臨する。結果、誰もそう思ってやってはいないでしょうが、アポロン神に購入してもらわないと解放されない「契約奴隷」という2000年以上前のポジションに向かって突っ走っている気がします。

外交が出来ない=懇願するか、実力行使かしかないわけですから、実はそこに、日本軍の性質にまで至る様な、我々の特徴があるような気がします。

外だろうが内だろうが、どっちでもいいのですが、皆に奴隷でいて欲しいから、一見潔さに見える短絡を美化称揚してるんだろうと。大和魂も、日本企業神話も似ている気がしませんか。

この辺で。
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